
【内容紹介】
桜が咲き誇る広沢池の畔で、八重桜の樹の枝に吊り下がった日本画壇の重鎮・植山小堂の死体が発見された。現場に残された椅子・ライターは本事件を解くカギとなるのか。警察の捜査が進む中、一人の容疑者が行方不明に……。なぜ、植山は殺されなければならなかったのか。その謎解きに、京都取材を得意とするプロカメラマンにして美食家、そして名探偵である星井裕が、元妻である京都府警の安西美雪警部補とともに挑む。
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「京都」に関するエッセイ、ガイド本を多数出してはる柏井壽センセが書きはった推理小説なら読んでみたい!
ということで読んでみたんだすが、柏井圭一郎というペンネームで過去に出版してはった『京都嵐山 桜紋様の殺人』を改題したもんで、新作とちゃうかったんですわ。
しかも、「名探偵・星井裕の事件簿」としてシリーズ化されている中の一篇だす。一作目、読んでへんけど大丈夫かなと思てましてんけど、主要登場人物のキャラ説明は書かれてたので安心しました。
ですが、別れた元妻と一緒になって事件を解決していく主人公が腑に落ちまへんのや。何でこの二人は離婚してはるんやろ? と思ってしまうぐらいに仲がエエんだす。この世の中には、夫と妻が離れて暮らす「別居婚」というスタイルもありますやん。そういう選択肢はなかったんやろか? 離婚の経緯が書かれてへんので、ずっと違和感を覚えながらも読了してしまいましたがな。
2時間サスペンスドラマ的ミステリー小説でおました。
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章と章の間に、京都の「旅のガイドコラム」を挿れてはるし、巻末には、実在スポットと小説内の架空スポットを併せて載せてある京都地図もあり、柏井センセならではの京都旅情ミステリーの新機軸やと思います。
▼ 実際に広沢池に行って桜の木を見てきましたが、大人が首を吊るにしては、枝が細くて体重で折てしまいそうでしたで。太い枝の桜もあったんかなあ?
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