
【内容紹介】from 裏表紙
京都は不思議な街だ。京都には秘密がある、星の如く数えきれない秘密が。よそさんが参加できないお花見。本物の京つけものは名店では買えない。京都人は実はパリびいきである……。京都は千二百年の歴史と都人に育まれた高嶺の花、などではない! ここに生まれ育った生粋の京都人である著者が、したたかでいけずであだっぽい本当の京都を、京都人として初めて、京都追放を覚悟して案内する。
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この文庫本をオイラがいつ買ったのか、まったく記憶にございません。オイラの本は2009年11月の初版本やったんだすが、まさか約9年の間、熟成、積読していたわけではなかろうかと。とにかく、入院中の暇潰し用に持参してきた1冊でおます。
多分、二、三年前に買ったような気がするし、それでいて初版本を手に入れてるということは、(初版発行部数がどんだけあったのか知りまへんが)あんまり売れてない本なんかなあ……。
しかししかし、ところがだす。冒頭の【よそさん】と題された章を読んだだけでオイラの心はノックダウン(マジで)。高等学校の国語の教科書に記載されてもまったく遜色がない、理路整然とした名文やないですか! (マジで)
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西陣で生まれ育ちはったホンマモン「京都人」の入江センセが、今まで京都人がよそさんに語ってこなかった、否、語ってもわかってくれますやろか? わかってもらえまへんやろな。それでよろしおす、とアルカイックな微笑みでよそさんに「(あんさんらにわかりますかいな)どうでも宜し」としてきた京都の法則(不文律)を、よそ者のオイラたちにわかりやすく、丁寧に書いてくれはったキング・オブ・京都本だすわ。(マジで)
「京都」は好きやけど「京都人」はキライと、よそさんに面と向かって何度も言われたことがあると、別の著書で憤慨していた入江センセだすが、この本の内容はまさに諸刃の剣。よそさんが迎合するか反撥するか? 身内の「京都人」が秘密にしていたルールを明かされて、よろしおすとするか、あきまへんでとするか? そんな薄氷の上に立つ、微妙なバランスで成立してるような内容だした、ようわからんけど。
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オイラの母方の先祖の墓地が、西陣の近く、上品蓮台寺にあるということは、御先祖さんは西陣織に関係していたホンマモンの「京都人」やったんかなあ? とか、昼間から上七軒でお茶屋遊びしはるような(現在の価値観からすると問題ありそうな)旦那はんやったんやろか? とか、オイラの妄想の羽は天空に広がるばかりだす。
それゆえオイラのDNAには、かなり希薄となってますが「京都人」のスピリットが残っているような気がするんだす。
本書あとがきからの引用だす。【パブリックとプライベートをみごとに切り離し、外では気を抜かず、内ではそのぶん好き勝手。骨董を好み、書物を好み、アカデミズムを尊ぶ。趣味に生き、街の雑学に詳しく、教えたがり。革新と保守が拮抗し、しかし政治に期待せず、批判的な視線をつねに忘れない。優しいくせにドライで、合理的なのに湿潤】と、見事なまでに「京都人」のスピリットを明確に書いてはる。
多かれ少なかれ、オイラの性格も上記のような塩梅だす。けど、イケズ要素がオイラには少ないような気がしまっせ(マジで)。ずっと京都在住やったらイケズ要素が鍛えられていたのかもしれまへんが、オイラは大阪生まれの大阪育ちゆえ、イケズ心が発達せえへんかったんかなあ? いや待て、同じ大阪人でも腹立つイケズなお人とは一杯出会ってきたし、もうその人の出自や心根の問題なのか? 若いころは「お前ら人間じゃねえ、叩き斬ってやる」とちょこっとイキマイタりしたけれど、今じゃ表面上は多情仏心。(どうでも)よろしおすな精神で生きとりまっせ。
本懐は「リスクを背負った個人主義」。「もう鬱陶しいからほっといてんか❗」とあらゆる事象に思念を送ってまんのやが、哀しいかな、人はみな独りでは生きていけないものだから🎵なのであるねえ。
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大阪の某病院の病室からスマホより初めて投稿す。
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