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Channel: なのにオイラは京都へゆくの?
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『霊能動物館』加門七海

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霊能動物館 (集英社文庫) 加門 七海 集英社

 【内容紹介】from 裏表紙

 古くから人間と共生してきた動物たち。彼らは、神社の狛犬、お稲荷様の狐、神社仏閣のあちこちに彫られた竜や鳥など、日本では古くから崇められる対象でもあった。なぜ人は動物に神を見るのか? 狼、狐、竜蛇、憑きもの、猫、鳥、狸といった日本に存在する「霊能動物」の起源を、丁寧にわかりやすく繙く。文献や伝承、そして著者自身の霊能体験と幅広い知識がふんだんに盛り込まれた力作。


          ○

 文献、史料の豊富さと、加門センセの実体験談や聞いた話を交えながら、「霊能動物」たちの真実の姿にアプローチしていく、かなり以上にマニアックなオカルト本でもあるし、伝奇伝承を記した堂々たる学術本の趣もある不思議な本だした。

 その内容に付いていっているオイラも、それ相当のオカルト好きなんやと実感いたした次第だす。

          ○

 「狐の部屋」の章では、当然の如く京都の伏見稲荷大社が出てきます。今の稲荷山を覆い尽くさんとする勢いで石狐像の祠、塚が建てられてますが、幕末まで全くなかったらしいんだす。それに、つい最近?たぶん昭和の頃の話やと思うんだすが、宝ヶ池、狐坂の怪異譚も載ってました。

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 「狸の部屋」の章では、狸は人以外に無機質な物に化けるのが得意で、日本各地に「偽汽車」の話があるのだという。これって「有頂天家族」の「偽叡山電車」を想起させて微笑ましいだすな。やっぱり狸はユーモラス。

          ○

 「猫の部屋」の章で紹介されてたのは、吉田兼好の「徒然草」の中に兼行が妖怪「猫又」に遭遇した時のエピソードが書かれてあったこと。これにはオチがあるので兼行の笑い話やったんかい!

          ○

 最後のあとがきめいたエピローグの章で、加門センセはまだまだ紹介しきれてない「霊能動物」たちの事に思いをはせてはりますのやが、オイラは個人的に「牛の部屋」が今作になかったのが心残りだした。牛頭天王、スサノオ、件(くだん)の謎に迫って頂きたかっただす。続編がありそうな終わりかたやったので、次回作に期待。

          ○

"wolf guy-Ookami no monshou. (howl)" を YouTube で見る

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