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【背表紙・内容紹介文】
「この世にはね、不思議なことがあるものなのです」
作家が住まう”奇妙な京都(まち)”を舞台に――せめぎあう日常と超常、くりかえす怪異と忘却。ぐらあぁっ、と世界が揺れる、記憶が揺らぐ。「私」が見ているこの”現実”はいったいどこに通じているのか……? 読む者にも強烈な眩暈感(げんうんかん)をもたらさずにはおかない、冥(くら)すぎる闇の怪談絵巻。
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【背表紙・内容紹介文】
突如襲われる眩暈。それは異界の扉が開く瞬間なのか? 作家の日常に散在する”アンバランスゾーン”への入口。廃神社の鈴の音、閏年に咲く狂い桜、深泥丘三地蔵、ラジオ塔、そして深泥丘病院……。
この京都(まち)、面妖につき取り扱いにはご注意を。――どこから読んでも、いよいよ深まる謎。綾辻版『ウルトラQ』ともいうべき、読み切り連作短篇、待望の第二集。
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文庫本を一括購入してイッキ読み。
現実の京都とは似ても非なる「もう一つの京都」が舞台の怪奇幻想連作短篇小説集である。
比叡山は「紅叡山」だし、大文字山は「人文字山」になっている。他にも「黒鷺川」「白沼通」「円谷公園」……などなど、多数の架空地名が頻出するので、モデルとなる現実の地名と想像しながら照合していくのも面白い――ような気がする。
ははん……? 『ウルトラQ』的世界ともいえなくもないが、ハデな怪獣系の話ではなく「悪魔ッ子」や「あけてくれ!」のテイストであるなぁ。
各話の中で、オイラ的には諸星大二郎テイストであり本格推理(ミステリ)テイストでもある『悪霊憑き』、『切断』が好み。「*****」、「*******」、「******」が蠢く妖しく険呑なストーリーは今後も読みたいです。
『深泥丘奇談』を『ドグラ・マグラ』の影響下にあると評する人もいるようだが、オイラは『ドグラ・マグラ』を読んだことがないのでなんとも言いようがない。ともかく、本書を読んでで精神に異常をきたすようなことはない――ような気がするが……精神的に不安定な人は読まない方がいい――ような気もする。
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オイラは未読なのだが、登場人物を理解する上で綾辻行人センセ著の『最後の記憶』、『眼球綺譚』を先に読んでおいた方がいい――ような気がしてならない。
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「この世に不思議なことはあるものです。しかしね、その中に幽霊は含まれない」 by 石倉(一)医師