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監督:川島雄三
原作:大佛次郎
脚本:川島雄三、今村昌平
出演: 森雅之、高野由美、三橋達也、北原三枝、左幸子、芦川いづみ、新珠三千代
【あらすじ】 from amazon
かつて天才画家と謳われた画壇を捨て、実業界に転身した村上春樹(森雅之)は、今では写真工業会社の社長として成功していた。妻房子(高野由美)との間に一男一女があり、息子圭吉(三橋達也)は父の会社の部長をつとめ、娘珠子(芦川いづみ)は幼い頃に病んだ小児マヒのため身も心も弱く、部屋に閉じこもって絵画に親しむ日を過ごしていた。
恩師山口画伯の告別式で、春樹夫婦は山口の息子都築正隆(二本柳寛)に再会。現在彼はナイトクラブのマネージャーをしていた。
圭吉の愛人久美子(新珠三千代)は、戦争で夫を失ってから酒場で働くうち、圭吉の世話を受けるようになった純情一途の女性である。
正隆は自分と関係のあったシャンソン歌手三木原ミキ子(北原三枝)を、お坊ちゃん育ちの圭吉に接近させた。ミキ子はおもしのつけてない風船のような女で、圭吉はたちまち心を惹かれた。
一方、商用で京都へ出かけた春樹は、戦時中、自分が下宿していた阿蘇家の娘るい子(左幸子)に会った。るい子は弟の学資を得るため、夜はバー、昼はヌード・スタジオで働いている健気さにうたれ、春樹は同家の二階を借りることにした。
圭吉の心がミキ子に傾いたと知って、久美子は悲しみの余り自殺した。
京都から帰った春樹は圭吉の不行跡と誠意のなさに、激しい怒りを覚えずにはいられなかった。そして春樹は周囲の反対を押し切って、家族と離れ、京都を定住の地に選んだ。古都に長く伝わる舞扇作りに老後の生きかたを見出したのである・・・・。
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村上春樹の映画だということでDVDをレンタルしてみました。w
『ノルウェイの森』の村上センセじゃございません。主人公の名前です。\(^_^)/
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映画の舞台となるのが東京と京都。
今は見れない昭和30年代初期の京都の風景が活写されております。その意味でも貴重な映画。
▼ 東華菜館の屋上からのショット? 今と変わらない比叡山の稜線。手前に見えしは京阪・四条駅か?
▼ 右上に三条大橋。ロージは先斗町。左上は高倉小学校か?
▼ 三条河原町? 近年、倒産したカメラのムツミ堂。
▼ 三条大橋西詰め? 今はこんな風景じゃない。(゜_゜;)
▼ 堀川通かな?
▼ 夜の木屋町。車がオシャレやね。
▼ 平安神宮。
▼八坂神社。「手首の輪」ってなんやろか?
▼ 清水寺。
▼ 大原女? 白川女? 桂女? 行商姿の女性がフツーに歩いている時代。
▼ 京都国立博物館。
▼ 天道大日如来の提灯。地蔵盆ですね。
▼ 安楽小路ということは、ここは恵聖院?
▼ 監督は、盆踊り会場を俯瞰で撮りたかったんでしょうね。近所に高い建物がなかったのか、このシーンはマットペイントになってますな。
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▼ 新珠三千代さんのセクシー・ショット。オイラにゃ『細うで繁盛記』のイメージしかないのだが、若いときはこんな愛人役もこなしてたのね。
▼ ノン・クレジットで出演の岡田真澄氏。バーで風船を撃つ外人モブ。
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暗くシリアスな内容の映画なれど、トホホなシーンは随所にある。
▼ なぜか書き割りの京都市内。京都タワーもない時代、ランドマークは八坂の塔だったんでしょう。
▼ ネクタイを締める二本柳寛氏。締めた後の前後の長さが違うが……。
▼ 次のカットでは長さが同じになってるぞ。(゜_゜;)
▼ カメラ目線で前を横切っていく 子供。
▼ モブのおばちゃんも、にこやかカメラ目線。
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会社社長を辞し、家庭を崩壊させ、単身京都で生きることを選んだ60歳の村上春樹が言う。
「他人が相手じゃない。結局、何事も自分が相手の勝負だ。私は、自分の信じた通りやりたいと思っているんだがね」
「振りかえって自分は少なくとも望んだことに誠実だったと、そう思えることが一番幸せなんじゃないのかね」
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この映画のテーマは、「人生は風船の如し」とゆーことなんだろうか?
風に吹かれていく風船。留まる風船。破裂する風船。自分の意志で飛ぶ風船……。
でも結局、なんだかんだ言っても、この映画は芦川いづみさんのプロモーション映画でしょ?
▼ 今でも通用するべっぴんさんやないか。※ 歌と映像は『風船』とは関係ありません。